土曜日, 1月 27, 2018

派閥によって違う解釈

昨年6〜7月にアカマツ林のうっペイした状態で育つ枝の直径階分布について、いくつかの試論を記録したが、小生のいた院関係者は専門がもともとそちら系ではなく、皆高齢となり、明確に回答できる専門家がおらず、指導教官も指導は放棄されたので、各大学の知人にお聞きして、この方ならまあまともと思える京都大学の教授を紹介していただいた。

京都大学大学院 地球環境学堂・地球環境学舎・三才学林の教授である大澤 晃 教授を紹介していただいた。
名古屋大学大学院からイェール大学の 、Forestry & Environmental Studiesで、はじめBormanの 学生から、D. SmithのところでPhD、その後、ワシントン 大学でPDF、続いてNZの森林研究所で南極ブナ一斉林の 自己間引きの研究をされていたことがあり、その後日本の森林総研へ呼ばれた

「自己間引きの線の傾きを決めるのにどのような方法を使うべきかは、多分今でも議論があり確定していないと思います。そもそもある林分密度に対する最大可能な平均個体重を与える線なのですが、最大値に線を当てはめる統計学など一般に使われているものはないのです。極端な値を扱う統計学があるそうで、それを応用した自己間引き線当てはめ法の論文が大分前にEcologyか何かにありますが、普及していません。私は、出来るだけたくさんの点(個体群)をプロットした上で、最大値を与えると思われる点だけを選び出し、それらに普通の統計学を使って線を当てはめています。点を選ぶのに主観が入るのが問題ですが、他に現実的で良い方法がありません。

私は、Brownらのmetabolic theoryは自己間引き現象に関する限り間違っていると思っています。Enquist et al.(1998, Nature)で自己間引きの線の
る私の論文(Osawa and Allen 1993)には、傾きが-4/3から有意に外れる例(つまり反例)が報告されています。彼らはそれを知りながら、その事実を無視して論を進めています。科学者として不誠実な人たちです。自己間引きの線の傾きはだいたい-3/2になるけれども、樹種によって幾分傾きが異なる、というYoda et al.(1963)の解釈が今でも生きていると思っています。その理由については今でも色々議論があり、定まっていません。林冠内の葉の空間分布様式が定量的に自己間引きの線の傾きを決めている(Osawa 1995, Osawa and Kurachi 2004)という説があるのですが、最近流行りだした3D地上レーザー技術を使って必要なデータが取れるようになりました。」

大澤晃

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