月曜日, 8月 17, 2015

宮崎正弘の国際ニュース・早読み  (「天津812大爆発」、その後)

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「宮崎正弘の国際ニュース・早読み」 
平成27年(2015)8月17日(月曜日)
  通算第4629号  
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 「天津812大爆発」。悲劇敵事故は大悲劇となり、未曾有の惨禍が重なる
    ジョージ・ソロス、保有した中国株のほぼ全株を売却、将来に見切りを付けた
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 悲劇は重なる。
 天津の大爆発は未曾有の惨事となり、8月16日に当局が発表した死者は112,行方不明95(そのうち85名が消防士)、不肖して入院中が722名であるとした。

 開催予定だった政治局常務委員会は中止となり、急遽、李克強首相が現場を視察した。
天津市書記の黄興国から説明を聞いた。爆発現場は遠くからみただけで主に犠牲となった消防士らの葬送会場を訪れ、「英雄だ」と遺族を励ました。
 
しかし「犠牲者は1400名、不明は700名」という現場の噂を在米華字紙「博訊新聞網」(8月15日付け)などが伝えている。2013年11月22日におきた青島の石油管爆発事故ですら、人口密集地ということもあったが、死者62名、重軽傷136名だったの。だから、天津の事故はもっと犠牲が多いはずだという。

 爆発した倉庫は中国に四十社ある危険物取り扱い許可を受けた特殊倉庫だが、天津ではなぜか、事故現場の「瑞海国債物流」という資本金1000万元(邦貨換算二億円)の小さな企業。株主は僅かふたりしかおらず「政府高官との特殊な関係」で運営される企業と判明した(『サウスチャイナ・モーニング・ポスト』、8月17日)。

 また「有毒な化学材料は700トン、これは通常の基準の70倍」(台北タイムズ、8月16日)、消防士1000名の増援にくわえて、3000名の軍隊が派遣された。

 爆発のあった天津市糖古開発区にはトヨタなど日本企業が夥しく進出しており、被害甚大で操業停止に追い込まれている。

部品供給が中断している上、天津港の港湾機能が麻痺しており、輸出入港として「世界四位」の港湾が今後数ヶ月、使えない状態となると、生産開始はそれなりに遅延するだろう。
 日本のメディアはトヨタなどの被害ばかりを伝えているが、世界経済の視点にたてば、世界第四位の港湾が麻痺したというニュースのほうが、深刻な意味をもつ。

 それこそ天津は工業区ばかりか北京へ物資を運送する生命線である。代替できる港湾は渤海湾に大連、旅順、営口、秦皇島、煙台、威海衛、青島などあるが、規模が小さく、また郵送コストが跳ね上がることは目に見えている。


 ▼すぐに行動に出たのはソロスだった

 悲劇は続く。
 8月13日、広東省東莞では地下鉄の工事現場で、300平方にわたって地盤が崩落、それも白昼の出来事で多くのヴィデオフィルムがネットに流れた。

 8月15日、陝西省の炭鉱で落盤事故、64名が生き埋めとなり絶望視される(上海日報、8月16日)。

 ネット銀行は「幽霊銀行」、預金が蒸発しても、どこに取り付けに行けば良いのか、分からない、多くの預金者は「ネット銀行が幽霊化した」と嘆いている、と英『ファイナンシャル・タイムズ』が伝えた(8月17日)。

 かくて世界一の投機家ジョージ・ソロスは、中国の将来に見切りを付けた。
 保有したアリババ439万株、「百度」の30万株、ほかに三社ほどの中国企業株式合計300万株を売却していたことが分かった(ウォールストリートジャーナル、8月17日電子版)。
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樋泉克夫のコラム 樋泉克夫のコラ 樋泉克夫のコラムム
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樋泉克夫のコラム
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【知道中国 1280回】   
   ――「市店雜踏、穢臭衝鼻、覺頭痛??」(岡21)
      岡千仞『觀光紀游』(岡千仞 明治二十五年)

   ▽
 指揮官は砲撃を受けるや反撃することなく遁走し、潰走兵は行きがけの駄賃とばかりに砲台に備わっていたはずの「官金三十萬」を持ち逃げする。「好鉄不当釘 好人不当兵」とはよくいったものだが、そんな不心得者の罪まで押し付けられては、李鴻章も堪ったものではないはず。

 ともあれ「殆ど國政無し」とまで墜ちてしまった清国政治の責任を李鴻章一人が負う必要はないし、同時に頽勢挽回の重任に応えうる人材は李鴻章以外に見当たらない。岡は李鴻章を高く評価し、むしろ積極的に対仏外交に当たらせるべきだと説く。

 

 ――「中土」は二百年の承平の時を経て、文官も武官も太平楽を決め込み、人々は一時の安楽を貪っていた。李鴻章は弛緩した世情を刷新し、頽廃した綱紀を奮起させ、富強を目指す政治を興そうとしたものの、安逸を旨とする社会には大事を任せられるような、必死の志を秘めた人材は求めるべくもなかった。
 
 私が李鴻章に心服する所以は、1882年の壬午事変(大院君らに煽動された兵士によって親日派の閔妃一族、日本人軍事顧問、日本公使館員らが殺害され、漢城の日本公使館が襲撃された事件)の際、「朝鮮亂徒」が我が日本公使館に火を放ったことを知るや、李鴻章が一二の腹心に命じ、朝鮮に軍艦を急派し大院君を捉え、日韓両国の間を事なきように取り謀ったからだ。まさに疾風迅雷ともいうべき手早い対応策は、李鴻章をして初めて可能だったというべきだろう。

 フランス人は「中土」を無為無策と断ずるが、李鴻章に大権を与えフランスの想定を超える積極果断の策に訴えれば、道は拓ける。昔から国に大事がある時、国家の枢要は「彊(こっきょう)」を越えて謀るというではないか。国家存亡の今こそが、その時だ。李鴻章をフランスに派遣し大統領との会見を実現させ、なぜ「中土」がフランスに賠償を支払わねばならないか。なぜフランスは「中土」を怨むのか。?籠と福州を侵す正当な理由はどこにあるのかを問い詰めさせるべきだ。理非曲直を糺すなら、軍に犠牲を強いずとも難局は打開できる。李鴻章は今上・光緒帝の父親に当る醇親王と伯父の恭親王を奉じて渡仏することで、清朝帝室の権威を後ろ盾にすることができる。そこでフランスの軽侮を排し、堂々と対仏交渉に臨む。かくて彼我の理非曲直を弁別し主張できるのは李鴻章だけだ。

 フランスがこちら側の主張を受け入れ自らの非を認めれば良いし、かりに反発したなら休戦を申し込んだうえで直ちにプロシャとイギリスとに赴き、フランスは「中土」の疲弊と混乱に乗じて理由なく侵略を進めている。これは「中國之巨患」であるだけでなくイギリスとプロシャの長期的国策と相容れないと説得する。プロシャはフランスの仇敵だ。フランスが東洋で覇を唱えることを喜ばないイギリスは、中国における威勢をもってフランスを圧倒したいと企図している。「中土」が特に親王を派遣して国情を述べ、フランスとの仲介に立つことを望むなら、両国はフランスによる侵略を黙認することはないだろう。

 プロシャとイギリスがこちらの要望に耳を傾けないなら、直ちに渡米し大統領に面会し心の裡を訴えよ。ヨーロッパ全体を敵にできるほどの強大な国であるアメリカは、親王・大臣を派遣して訴えるほどの「中土」の窮状に鑑み、必ずや国会を開いて良策を打ち出すだろう。アメリカは「七千里の鐵道を新築し、盛んに桑港(サンフランシスコ)を開き」、東洋貿易を目指す。それゆえ「中日二國に待するに、特に懇至を爲す」。プロシャとイギリスが拒否したとしても、アメリカは必ずや「中土と厚く交わる」ことを求めるはず。3国が共同歩調を取ったなら、1人の兵士を傷つけることもなく清仏和議は成立する――

 ついに日中の間に東洋貿易を目指すアメリカが登場した。岡は熱く語り続ける。

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知道中国 1281回】            
   ――「市店雜踏、穢臭衝鼻、覺頭痛??」(岡22)
『觀光紀游』(岡千仞 明治二十五年)
 
 ▽
 数百年間途絶していた交渉を再開すべく江戸幕府が千歳丸を上海に送ったのが文久2(1862)年。そして岡の上海滞在が明治17,8(1884,5)年。この間、20年余り。中国を語る日本人の意識の中に漸くアメリカが登場して来るようになったわけだ。
 
アメリカは東洋貿易を求めるゆえに「中日二國を待するに特に懇至(ゆうこう)を爲す」と岡は説く。だが、その後の歴史を見る時、アメリカが日中両国と同時並行的に「懇至を爲」したことはない。アメリカの軸足は日清・日露戦争から昭和20年8月までは中国に、中華人民共和国建国以降の毛沢東の時代は日本に置かれていたものの、文革期の1972年には外交方針を電撃的に転換させニクソン大統領が訪中し毛沢東と語り合っている。以後、戦略的互恵関係やらアジア回帰やら首尾一貫しないが、やはり当然すぎるほど当然のことだが、アメリカは飽くまでも自国の都合に基づいて、時に日本と、時に中国と「懇至を爲」してきたということ。であればこそ、明治17,8年の時点で日中関係にアメリカという「変数」が加わったという事実は、やはり注目しておきたい。
 
 岡の説くところを続けると、
 
 ――プロシャ、イギリス、アメリカの3者の1つでも同意しなかったなら、これこそ天下の一大事であり、こと此処に至ったら天下の義士を糾合し、「法虜(ふらんすやろう)の罪を鳴らし、成敗を天に委ね」、大義に殉じても遅いことはない。
 
 考えるに、「粤匪(たいへいてんごく)」は「亂賊」とはいえ要するに同じ中国人であり、彼らが天下の政柄を執ったところで、中国それ自体に変わりはない。だが今は違う。中国人全体が穴の開いたボロ船に乗っているのも拘わらず、一日の安心を貪っているだけだ。
 
目下の危急を挽回する「偉策」に訴えない限り、分裂すれば「五胡の割拠」となり、統一を維持したとしても「蒙古の臣虜」のような轍を踏むだけ。分裂にせよ統一にせよ異民族の支配に屈するのみ。なれば往古以来の優れた文化は失われ、幾多の聖人の教えは跡形もなく廃れてしまい、六経(易経・書経・詩経・春秋・礼経・薬経)に代わって旧約聖書が、五教(仁・義・礼・智・信)に代わって十戒が行なわれ、聖廟は禮拝堂(きょうかい)に取って代わられ、人民は洗礼を受け十字架を拝することになる。ちょうど現在のインドがイギリスを、安南がフランスを奉ると同じことだ。まさに臥薪嘗胆どころの話ではない。
 
 「日東(にほん)」に在って欧米勃興以来の治乱興亡の故を眺めてみると、東洋が現在の難局に立ち至った理由が判るような気がする。「疎狂(きょうじん)」たる私は、「中土」に遊び「有心の士」に会し討論を重ね、ヨーロッパ人が「中土」を求めて凌轢(しのぎあ)う根本的な原因を求めようと常に念じてきたものだ。
 
 今夏、念願叶って初めて渡中しフランスが戦端を開いた戦争に際した。何事にも転機があり、僅かながらも「見幾の士(せんけんのひと)」はいるもの。天下大乱に乗じ、風雲の会(とき)に身を投じ、廓清(よなおし)の功を挙げる。まさに日本は積年の弊習を重ねたた末に、「立國三千年の陋習を一掃し、明治中興の基を建てた」ではないか。
 
 フランス人が戦争を仕掛けたことは、「實に天が一大幸運を中土に降し」たということ。「中土」は平穏無事の時代が長く続き、「國初の良法美意(すばらしさ)は徒文徒法(れつあくさ)に變じ」、ありとあらゆる弊害が国家・社会の隅々にまで及んでしまった。であればこそ「有爲豪傑の士」が持てる力を存分に発揮できるというものだ。考えるに「中土の大病」は国家枢要の人が外国の情況に目を瞑り、「中土」だけが「禮樂文物の大邦」だと思い込み、自国以外にも同じような大国が並存していることを知らない点にある――
 
 国家社会の進退が極まった今こそが回天の絶好機だ・・・岡の献策はまだまだ続く。
《QED》
 
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読者の声 どくしゃのこえ READERS‘ OPINIONS 読者之声
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(読者の声1)旧盆休みを利用して「ツンドク状況」の改善につとめていました。貴著を弐冊拝読しました。読書ノウハウの未熟な者としては貴著だけでも弐冊も読んだこと、それ自体も驚異です。うち一冊は宮崎先生の文庫本(『中国 大嘘つき国家の犯罪』、文芸社文庫)でした。
 中国人の特徴をじつに精密にもれなく解説され、しかも具体的で同時にユーモラスで思わず嗤った箇所が十数カ所もありました。
 中国人は大風呂敷を広げるのが好きだが、たたみ方を知らない、とか。あるいは「中国人は嘘を食事のようにつく」、「中国人の食欲、性欲、金銭欲は原色である」など、分かりやすく、しかし、文章にも艶がありました。
 この原本は四年前に新潮社から出された『オレ様国家 中国の常識』なのですね。
ところで、この文庫の最後の解説が、西尾幹二先生だったので、二度びっくりです。しかも西尾先生は、宮?さんの中国観察の特質を適格に網羅して、高く評価されているのですが、この解説だけを切り離して読んでも十分に価値があると思いました。
 もう一冊は最新作の『AIIBの凄惨な末路』(PHP)ですが、まったく上海株暴落、人民元切り下げなど、この本で早々と宮?さんが予測されてことが次々と的中して行きますね。これは驚異的です。
読み直して友人らにも推薦したいと考えながらページを措き、そして旧盆休みは終わりました。
   (HE生、横浜)


(宮?正弘のコメント)せっかくお褒めにあずかったので、ちょっと紹介させていただきますと、当該書籍の基幹部分は『週刊朝日』のコラムに一年近く連載したもので、新潮社から単行本で出た直後に、震災で茨城の同社倉庫が被災して市場に十分に行き渡りませんでした。
文庫本になったのは幸いでしたが、なにしろご承知のように文庫は過当競争、発売一ヶ月ほどで書棚から消えてしまい、書店巡りでこの本の入手は不可能に近くなりました。そこでご興味の皆さんは下記アマゾンから。
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(読者の声2)1924年(大正13年)発行「対米国策論集」の続きです。「海軍より見たる日米問題」川島清治郎、 「二六新報」記者「大日本」主幹で国防に関する著書多数。
 日米問題はまず日米一戦しなければ解決しないという。ワシントン会議で海軍力を対米6割に制限された日本はどうするべきか。
世間の声として「長い物には巻かれろ、相手方に心ならぬお世辞をいってなるべく怒らせぬようにするがよい、唾を面上に吐きかけられたところで、唾などは単なる液体である、拭えば取れる、左の頬に唾を吹きかけられたらならば右の頬を出せ、そうしたら先方は感激するだろうというようなことになっておる。そういう事では解決はつかぬ」と世間の対米追従を非難する。
アメリカを中国に置き換えれば現在の日本の状況とそっくりです。
 日米戦争を仮定して、日本がアメリカ本土に進撃するのは難しい。
ネルソンのモットー『国防の第一線は敵の海岸にあり』を紹介しながら我が国にはそんな実力がないことを認めている。
しかしアメリカでは日本海軍がパナマに殺到してきて運河を破壊し、これを封鎖するというように考えて、始終演習しておるのである、とアメリカの用心深さを指摘。前年のパナマ攻防演習の想定では、ある黒い色の国の艦隊が南米の沿岸を遊弋しつつ順次に北上してエクアドル沖のガラパゴス島を根拠としてパナマを攻撃する。
 日本の実力からはあり得ない設定ですが、アメリカはそれほどまで日本の海軍力を恐れていたのでしょうか。
日米海戦を想定して米国艦隊がパナマに集中する前に宣戦する、あるいはハワイに来たらざる前に宣戦するならば日本の勝利、しかし日本の外交官はかくの如き果断な決定は能うすまいと思う、ハワイに米国艦隊が集中して、それから日本に向って進撃してくるというまでも、まだ愚図々々しておるのではないかと思う、というところなど外務省は昔から無能だと思われていたようです。
米国艦隊がハワイ以西に向ったなら、日本は直ちに開戦しなければ日米戦争は頭から負けである。
ハワイ・グアム・フィリピンに至りフィリピンを根拠にすればマラッカ海峡の通商は遮断され、日本国中爆撃される。真珠湾攻撃については賛否両論ありますが、大正時代から選択肢のひとつだったのですね。
 陸軍の立場で航空戦力の重要性を説くのは四王天延孝少将。第一次世界大戦ではフランス軍従軍、航空機の重要性に着目、関東軍司令部付となりハルピン特務機関長を務める。語学に堪能、ユダヤ研究で多数の著書あり。1929(昭和4)8月、陸軍中将に昇進し予備役に編入。
大正六年の初め四王天氏がフランス第四軍を訪ねた折、軍司令官のロック将軍から乃木将軍を航空隊に案内した話がでた。
「その時に私は、およそ飛行機の操縦に適しておる人種は貴国人である、なんとなれば勇敢にして沈着で、軽捷で、しかも用意周到で、すべての資格を具備しておる」と日本人の性質を絶賛したという。
兵力としての航空機の列国比較では、日本が500機、英国1000機、米国1681機、フランス3850機、イタリア500機と日本はかなりの劣勢です。米国の動向としてアメリカンファーストをモットーとする彼らはすべてのレコードを米国で取ろう、高度のレコードでも速力でも航続距離でもアメリカが一番を目指している。
大洋横断については浮島の研究を紹介、無線電信、給油、探照燈の設備をそなえた人工島を海洋に設置するというもの。まさに中国が行っている人工島の建設の目的そのものです。
 日本の現状については新聞批判。航空界の失敗の歴史ばかり書いて、成功の歴史を書かない。
「例えば所沢あたりで練習中の飛行機がちょっと場外に不時着陸をすると、すぐまたまた墜落、またもや墜落と、二段抜き三段抜きで大げさに書き立てる。西洋の新聞では大概二三行くらい小さく書いて追っ放しでいる」
これなど現在の新聞もまるで進歩がありません。
つねに自衛隊が悪いと決まっています。
 米国・中国との関係について、米国はあらゆる方法を講じて日支の離間を図っている。
「即ち仮に私が予言的に申しますると日支間に事が起れば米国の義勇軍が参加するようになる」とフランスで見た『ラファイエット』中隊という米国国旗を掲げた飛行中隊の話に繋げる。

「アメリカ独立戦争のとき、ラファイエットはフランス人義勇兵を引き連れワシントンをたすけた。米国民はラファイエットに対して非常なる感謝の念をもち、米国の参謀総長パーシング将軍が過般の大戦でフランスに到着すると一番初めに、パリの凱旋門近くにある、ワシントンとラファイエットの握手している像の所へ立ち『ラファイエットよ、我がアメリカ人ここにあり』と云う風なことを云って先ずラファイエットに挨拶をした。
支那とは同じ共和国でありますから、同じ共和国が共和国を助けると云う意味において、毛色の変わった連中がどんどん入り込んできてどんなことをするかも知れぬのであります」
アメリカの義勇軍フライングタイガースで現実になりました。

 左翼勢力の問題についても触れています。
ドイツのカイゼルは西部戦線に注力するためブレスト・リトフスク条約を結んだ。東部戦線から三分の二を引っこ抜いて西方に止めを刺し、引き返してレーニン・トロツキーをやっつけるのは朝飯前のつもりだった。露国にたいして過激派の宣伝は相成らぬという釘をさしていたのに露国の宣伝にしてやられて、軍隊が赤化し降伏が相次ぎ、士気が悉く頽廃してしまった。コミンテルンの活動、世界の労働運動など「戦争反対」を叫ぶ勢力の後ろ盾はソ連から中国に変わっても健在です。
思想戦、謀略、宣伝戦といった面で、日本は押されっぱなしでしたが、安倍総理の戦後70周年談話によりやっと歯止めがかかったように思います。
 東京の防備について「東京市の爆撃などは、大きな爆弾は不必要である。極小さい爆弾で焼夷弾として燃焼熱度の二千度も出すようなやつを多数に落とされると二三時間で火の海になってしまう。某国飛行家は一時間で東京を焼き払ってみせると受け合っている」
 と空襲を予言している。
「日本にはまだ地下鉄道がなく、地下室もなく、かかる攻撃に対する設備がないのでありますが、国民の覚悟が鞏固であれば、焼夷弾で家を焼かれても恐るることはない。牛込の市ヶ谷八幡なり、芝の愛宕山なり、上野の山なりの横っ腹へ穴を開けて地下室を作るのであります。地面の厚さが十米以上あれば大概の弾はとおりませぬ。そうして穴を掘ってそこへアーチさえ架ければ大丈夫、これで三年でも五年でも穴居してやる積りで、どこからでも来るなら来いという気概があるならば、少しも心配はいらぬ」
実際には精神主義が悪い方へと働き、首都の防空対策はまるで不十分なものでした。
   (PB生、千葉)


(宮崎正弘のコメント)戦争末期、精神主義も病的なレベルにあったと思われますね。預言的な書物のご紹介、有り難う御座いました。



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(読者の声3) JAL123便の尾翼部分らしいものが相模湾で発見されたと報道されています。
あの事件の原因は、隔壁の修理をボーイング社が行った際の修理に問題がありその修理結果をJALが十分に行わなかったというのが公式の発表です。
 ボーイング社が修理ミスを認めたのにもかかわらず損害賠償を請求されなかったのは不思議です。別の可能性として米軍横田基地からミサイルが誤射され、米軍は自衛隊に処理を依頼したが間に合わず、JAL123便にあたり、自衛隊は機体着地現場に捜索隊到着前に行き、証拠となる可能性のあるものを回収したという説が提示されています。
これは、以下の2点と符号します。
(1)生存者が、着地から数時間後人が何人かきていて話していたが去って行ったと証言している。
(2)ボーイング社が修理ミスを認めたにも関わらず損害賠償を請求されていない。
私はその説が正しいか定説が正しいかは五分五分と考えます。
この度、見つかった尾翼らしきものがこの疑問に回答を与えてくれることを期待します。
   (ST生、千葉)
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宮崎正弘の新刊  宮崎正弘の新刊  宮崎正弘の新刊  宮崎正弘の新刊 
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宮崎正弘『アジアインフラ投資銀行の凄惨な末路』(PHP研究所、999円)
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 ――AIIBはうまく行くはずがない
 ――共産党が運転する?「このバスには乗らない方が良い」
 ――中国の在庫一掃処分のはけ口に利用される懼れ大
 ――英国はじめ独仏が加盟申請したのは打算と思惑がある
 ――ロシアは本気で参加しているのではない。中国の風下に立つだろうか?
 ――アジア外交の攪乱が目的の「銀行もどき」は政治工作の武器なのだ
 ――日米カナダの不参加は見識である
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宮崎正弘 v 室谷克実『日本に惨敗し ついに終わる中国と韓国』(徳間書店)
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――戦後70年を迎え「歴緯線」の日本攻撃の総仕上げに動く中国と韓国。反日式典が目白押しで「旅順大虐殺」「関東大虐殺」など新たな日本攻撃を用意する両国だが、実態経済はボロボロで、中国が推し進めるアジアインフラ投資銀行(AIIB)は空中分解が必至、政治も混迷を極め崩壊寸前。
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宮崎正弘のロングセラー 
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『中国、韓国は自滅し、アジアの時代がやってくる!』(海竜社、1080円)
『中国大破綻 ついに失われる20年に突入する』(PHP研究所、1404円)
『日本と世界を動かす悪の「孫子」』(ビジネス社。1188円)
『吉田松陰が復活する』(並木書房、定価1620円)
『中国・韓国を“本気で”見捨て始めた世界』(徳間書店 1080円)
 『台湾烈々  世界一の親日国家がヤバイ』(ビジネス社、1188円)
『「中国の時代」は終わった』(海竜社、定価1080円) 
『中国共産党、三年以内に崩壊する!?』(海竜社、1080円)
『中国バブル崩壊が始まった』(海竜社、1080円)
『中国 大嘘つき国家の犯罪』(文芸社文庫、713円)
 『中国の反日で日本は良くなる』(徳間文庫、680円)
 『世界から嫌われる中国と韓国。感謝される日本』(徳間書店、1026円)

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<宮崎正弘の対談シリーズ>
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宮崎正弘 v 小川榮太郎『保守の原点』(海竜社。1620円)
宮崎正弘 v 大竹慎一『中国崩壊で日本はこうなる』(1512円。徳間書店)
宮崎正弘 v 室谷克実『仲良く自滅する中国と韓国』(徳間書店)
宮崎正弘 v 川口マーン惠美『なぜ中国人とドイツ人は馬が合うのか?』(ワック)
宮崎正弘 v 石平『2015年 中国の真実』(ワック、シリーズ第五弾)
宮崎正弘 v 西部遇『日米安保五十年』(海竜社)   
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宮崎正弘のホームページ http://miyazaki.xii.jp/
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