火曜日, 7月 07, 2009

前述の久保司郎博士の逆問題の解説では、『超音波の反射波をもとに異物の位置、形状ならびに特性を求める超音波診断も逆問題の典型例である。』とか『古代研究に対しては、現代までに受け継がれた遺跡や限られた異物をもとに古代の生活や事件を推定する問題がある。また、遺跡の中に存在する未知の空洞や部屋を、微弱な重力の変化にもとに探し当てる問題も、逆解析の例である解釈することもできよう。』などとされている。

ピラミッド内の空洞の探査とか、不幸な例としてあげられる足利事件なども、そういう意味では、逆問題の例として認識できるのではないか?失った17年半を取り戻す事はできないまでも、それ以上の過去の『事実』を暴くことはできる時代になったのであろう。

しかし、より直接的には、統計解析との関連が考えられ、モデル化による順解析のようにみえても、モデル化じたいが逆問題となることも多いのでは、という複雑な思いにとらわれもする。

http://www.jsce.or.jp/committee/rm/gyaku/Risoh/4-20I-Yoshida.pdf
では、『逆に,どんなに優れた順解析手法を用いても適切なパラメタを与えないと適切な結果は得られない.
今度は「画龍点晴を欠く」結果になってしまう.そうならないための有力な手段が逆解析である.逆解析手法そのものに関わる問題は統計確率,推定理論から考えることで比較的見通しはよくなるように思う.
例えば,与えられた観測情報の質と量に応じて,どの程度細かくモデルを推定できるかも議論することができし,また,逆解析の立場から考えた適切な観測点位置も議論することができる.
特有の問題として局所解や非適切性(共線性)の問題もあるが,その対処法や限界も認識されるようになってきたように思う.

以上まとめると逆解析における両輪は適切な順解析手法と適切な逆解析手法(推定手法)となり,その理想は

●注目する挙動を説明できる順解析をもとに,観測情報の質と量に見合った逆解析を行うことになる。』などとしており、
順解析も逆解析もともに問題解析への両輪として捉えておられるように思う。

http://www.ism.ac.jp/kinou2/kinoux2-j_3-1.html
でも、統計的モデルに基づく地球科学における逆問題解析手法
として、『地震、オーロラ、磁気圏プラズマ現象について、地上観測、人工衛星観測によって得られた様々なデータに、最新の
統計的モデルを適用することにより、地震発生源の特性、地球内部の構造、オーロラの三次元的な構造や運動、磁気圏プラズマの時間空間的な変化、などを明らかにすることを目的とします。』などとなっており、最新のモデル化そのものが、逆解析、逆問題的手法であると、暗示しているように思える。

http://www.rois.ac.jp/tric/pdf/seika16-05.pdf
でも、『オーロラ画像データ解析のために、新たな解析手法を開発・導入し、〜・・3次元構造、形、動き、強度変化、周期性などの特性を定量的に明らかに〜・・・テーマの一つである、「機能と帰納:
情報化時代にめざす科学的推論の形」のサブテーマ「統計的モデルに基づく地球科学における逆問題解析手法」』などとなっている。


なかのひと

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