土曜日, 4月 05, 2008

久しぶりに又、燃費テストを兼ねて映画館へ行った。

題名は、「マリと子犬の物語」〔2007年10月16日完成、東宝映画〕。映画鑑賞前、内容はある程度想像できたがどういう映画か事前の下調べなく訪れた。

金曜の夜、明日一日を残すのみの上映日程だった。観客はほぼ半分。圧倒的に若い女性が多い。終わった後、顔からタオルが離れない女性が何名かいたように記憶。上映時間は2時間4分。画面の写りがよく、色合いも、特殊撮影(雨の夜の山中や、地震での崩壊現場)除き、淡いやわらかい感じがして、悲惨な内容ではあるのだが、あまりそれを感じさせない。

花粉症の影響もあるのだろうが、私も何度涙をぬぐったことか。兄と妹役の子役も自然な感じがして、なかなかいいが、犬(マリ)の演技が、予想を遥かに超えてぐっときた。狼の子を、抱いてそのずっと昔かわいいと感じた女の子がいた、というところから始まるとされる人と犬との長い歴史のその、原点を再び感じさせる映画のようでもあった。

テレビ報道での記憶も、比較的新しいし、関東での当時の揺れも体感しており、被災された方々には失礼な面もあるが、身近な話題として抵抗無く溶け込めた。復興直後に、再び同様な再現シーンに協力された地元の方々にも頭が下がる。上映後は、今でも、災害地の募金も継続中だった。

抵抗無く見れた映画は、上映後さらに情報が欲しくなり、解説パンフレットを買うことになる。映画の終わり頃には、この映画の主役は、文句なく犬、脇役の自衛隊の再現活動だろうな、と独断と偏見で思っていた。
http://shamr.blog.shinobi.jp/Entry/102/

『被災した山古志村で置き去りくらったワンコの実話を映画化。山古志村って鯉の生産地じゃないですか。底の割れた養殖場で、僅かに残った水の中に集まって必死に口パクパクして生きてる魚たちをニュースで見て、魚飼いとしてはもうかわいそうでかわいそうで、どこでもドアがあったら行って助けてやりたかった…・゚・(ノД`)・゚・。

などと思いつつチラシを読んで確認できたこと=「陸上自衛隊完全協力」、すなわち

「チヌーク x ブラックホーク x しばいぬ」

という映画なわけですよ奥さん!』などというのもある。

もちろん、二人の子役も息があっていて、役者やのう!と思わせられた。父親役だった船越氏は、二人を天才子役、とくに妹のほうをそう呼んでいた。さもありなん。すでに知る人ぞ知る名子役らしい。

パンフには、もちろん、防衛省への、とくに協力いただいた東部方面隊第12旅団への感謝も記載されているが、そこまで書くなら、写真も載せろといいたくなったが、軍事色が強まることを配慮したためか、隊員役として活躍した高嶋正伸さんの写真が本人紹介以外にたった4葉のみ。孤立した山古志部落への偵察飛行や、救難者の搬送などに、命がけの操縦をしたヘリ部隊の活躍への配慮も欲しかったが、警察や自治体、消防などと同様、後方へ退けられている。



このヘリの陸自塗装機が数機、正面から大写しで偵察飛行から自衛隊活動が紹介される。

ネットでみたら、例えば、http://green.ap.teacup.com/applet/hourou98/509/comment?list=1

には、「マリとチヌーク」という題で、

『現在上映中の「マリと子犬の物語」で不覚にも号泣してしまった高宮今日子とのぶ太郎。まだご覧になってない方の為に涙の訳は申しませんが、劇中では陸上自衛隊東部方面隊第12旅団の協力には目を見張るモノがありました。特に第12ヘリコプター隊のUH-60JAとCH-47JA(チヌーク)のシーンは圧巻であります!』

などという書き出しで、二種のヘリコプター写真まで、入間基地で撮ったらしいのがのせてありました。そう、まさに圧巻でした。御巣鷹の尾根に日航機が墜落したときも、なぜ夜間に、ここでの救援ヘリのように
すぐに飛ばさなかったのか!?ということで、文藝春秋では直ぐ特集座談会を掲載したりした記憶がありますが、夜間に目視で、尾根筋を飛ぶことはまさに自殺行為かもしれない、と思い、自衛隊の弁解には、一理も二理もあると。

http://green.ap.teacup.com/moemili/

『そしていまだに夜間作戦能力無いんですね。
「マリと子犬」の映画じゃないけど、チヌークもブラックホークも朝にならないと出動できないんだから…。』

最初に画面に突如大写しに登場するのは、パンフにも機種名が書いてあったが、UH-60、通称
ブラックホークといわれるヘリで、被災地の上空偵察、および寸断されて地上からはアクセスが難しい被災地の倒壊民家への地上からのアクセスだ。編隊飛行から個別へと移る空中シーンは思わず息をのんだ。しかも、陸自なので、迷彩塗装であり、いきなり戦闘映画であるかのような唐突な出現もあり、それが、自由に動ける飼い犬マリの巧みな誘導により、がれきの下の祖父と孫娘の発見へと。そして、大型輸送ヘリCH-47を近くの空き地に上空にホバリングさせながら、御巣鷹の尾根で見られたと同じ吊り上げにより、動けない患者をヘリ内に収容し、救急車の待機する、校庭へと運ぶ。

ここで、隊員を仲介したマリと祖父とその孫彩とは、生き別れとなり、彩はマリの名を連呼し続けながら泣く。マリはずっと、ヘリの後を地上から追い続ける。どこまでも、・・・

ここの子役に、山古志にはもはや他に生存者がいないという、外部の視点を与えての、機内での号泣シーンに異論も一部ネットではあった。

大型輸送ヘリはチヌークといわれているらしいが、よく上空を大抵二機で飛んでいる。これが山あいの狭い空き地に、気流の変化にあがらいながらホバリングするシーンもヘリの巨大さがよくわかる近接撮影だけに迫力満点。救出シーンでは、当時の実際の隊員の方もつきそったというし、実際に村民を運んだパイロット氏も参加したという。

解説にも「自衛隊としても、実際の体験に即した指導・監修であったことから、通常の映画への協力(例えば、戦国自衛隊・・・)以上に熱が入った模様。・・・この魂のこもった厚意にスタッフ一同は感激・・・」などとある。旅団長の御英断に感謝。なんでも実際の救出は12旅団が師団編成から昇格して陣容が整い出した直後だったらしく、海自も空自もよく陸自と連携した、と一部ネットでは称賛されてもいた。普段は感じない、隠れ自衛隊ファンが結構多いことも新発見!



最初に出てきたのは、写真の救難へリと塗装と所属(第12ヘリコプター隊、群馬、一部宇都宮)がちがうだけの同型だが、一瞬、富士重工製の対戦車ヘリ(AH-S1)、コブラかと、ぎょっとなった。こちらは、複座でも、機体の幅を狭めた縦列の座席だが、ブラックバードのほうは、並列の複座で、幅広である。

2ちゃんねる、でもいろいろと語られている。・・・

431 :名無シネマ@上映中:2008/01/08(火) 17:32:35 ID:ojY4uQRu
自衛隊ヘリの編隊飛行の描写は「ブラックホークダウン」を超えたな
カッコよすぎw

432 :名無シネマ@上映中:2008/01/08(火) 20:19:35 ID:GlNluKKv
ブラックホークダウンはブラックホークの印象を悪くする映画
マリと子犬の物語はブラックホークの印象が良くなる映画

・・・・・・・・・
『・・山古志に向かう時にブラックホーク3機にチヌーク1機。
後は全部チヌーク。
判ってるとは思うけど第12旅団の相馬原「弐飛」のチヌークと北宇都宮のブラックホークだったよ。
ホントは海自のバートル、県警のドーファン、百里のRF-4EJ、ハーキュリー
ヒューイ、イロコイスとかバンバン飛んでたんでそれも入れるとヲタにもたまらない映画になったかと思う。
避難所のロケで天幕や73トラック、高機動車の配置もあんな感じでなかなか凝ってると思った。』・・・




いずれにしても、自衛隊が活躍する場が本来ないのが理想だが、この映画でも語られたように、人生いつ何時、予期せぬ決断を迫られるような事態が、何時かはあり得るとその時に備えなければならないことも現実である。
震災で没した方の話しも一部出てきたが、天災で無くなられた方々には改めて心から合掌する。かって寺田寅彦博士は、天災は忘れた頃にやってくる、という名言を残された。これはいつになっても死語となならないだろう。

それにしても、太陽系の命から、ウイルスの消長まで、命の複雑さと重みを改めて考えさせられる映画であったような気がする。前回、命の食べ方をみただけになおさらである。

Die Welt und das Leben sind Eins.(世界と生命は一つである。)





なかのひと



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